記念すべき公道デビュー!第七話  1997年7月

 

免許を取る数日前に原付でナンバーを取得しに行った。あっけなくナンバーが交付されると ナンバーを付けたくて付けたくて一目散にXSの保管場所へ向かった。

取り付けただけなのに嬉しくて嬉しくて、何度眺めても飽きなかったよ。

免許はまだ無いけど、もう公道に出れると思うと嬉しくて嬉しくて感無量、今でも思い出すと 言葉にならないよ。

いよいよ最後の整備、カチカチのタイヤ交換が待ち受けていた。

ある日、まだ免許の無い私は、二輪免許を持つ仲間(大型バイク乗り)にXSのタイヤ交換したいから、タイヤ屋へXSを運転して連れて行ってくれと頼んだ。

タンデムで後ろに乗っかって処女航海に出た!本来なら感動の一瞬だったはずなのに、 俺は笑いが止まらない、何故かって・・・?

振動が強烈で、お尻やら足やらとにかく全身がくすぐったくてまともに乗れないんだよ! 挙句の果てには仲間の運転手も笑い出す始末、二人で大笑いしながらタイヤ屋へ向かったのだ。 タイヤ交換完了して、帰路に就いた時、事は起きた!

笑いも少し収まり、心に余裕が出たのか仲間の運転手は国道でスピードを上げ出した。 メーターを見ると80キロ/hくらいは出ていただろうか?

目の前には急なカーブが、 そいつは大型に乗ってるから俺は安心していたのだが、そいつは突然大声を上げたのだ!

「わぁーー!!ま、曲がらねぇーー!」

プア=貧弱な足回りとブレーキは二人を乗せて走る余裕は無かったらしい!コーナーの壁が迫ってくる・・・
バイクを倒しても曲がらず、とっさの判断で車体を真っ直ぐに立て直して短い距離でブレーキを掛け 壁の直前で思い切り倒しこみ無事にカーブを曲がりきったのだ・・・

ニュースに速度出しすぎでカーブ曲がり損ね二人死亡、こんな情景が思い浮かぶ出来事だった、 いや速度出しすぎではなくて、プアな足回りが問題なんだよ。

あわやの出来事に言葉を失った、この乗り物は危険かも知れないと・・・
二人して無言で帰るとその日はどうにも気分が悪かった。

翌日は気を取り直して原付で買い物へ!さて何を買ったのでしょうか?

正解はステンメッシュホース!これでいくらかタッチは良くなると信じていたのだ!

ホースを取り付けての感想は?聞かないでくれよ、答えはいつもおんなじだよ。
効くようになった気がする、いや効いてるよ、確実に、そんな気がした・・・

免許も手続き済んで俺の物になった、でもまだ喜びはこらえねば! XSに乗って公道走ってから初めて喜びは噛み締めれば良い!

間もなく待ちにまった公道デビュー、思えば半年以上の長い長いレストアだった、自分のバイクをタダで譲り受け自分で整備し、その後に免許を取得して公道デビューする、思えばなんと贅沢なバイク乗りだろうか!

初めて公道に出るときは、特別ドキドキしながらセルを回す、あっけないほどにエンジンは回り、 私道から公道へ、ウォーなんと気持ちの良いことか!
ありとあらゆる部品が今、ここで機能して、走っている。
もう言い表せない喜びだ!原付とはまるで違う、二段階右折も30Km/h規制も何も無い!

だがやはり振動の凄さには驚いた、初めのうちは、足の裏やお尻がクスグッたくて、慣れるまで数日は走りながら突然に笑い出す事が何度かあった。

今ではすっかり慣れたけど、二人乗りで後ろに乗る奴はやはり突然笑い出す事がこれまでにも何度かあった。

とにかく走る電動改め内燃バOブなのである。

こんなデビュー時の出来事が災いしたのか、XSは仲間には駄目の烙印を押されてしまった。
”重い、ダサい、遅い”と言わんばかりに・・・
それでもいい、俺はこいつと共に走り続けるんだよ!
軟弱なバイカーとは生まれも育ちも違う、俺の覚悟はそんなもんじゃない。

何度か走行中にヒューズケースの配線が朽ち果てて切れたりしたが、いずれもその場で配線の皮膜を歯で食いちっぎって、応急修理してしのいだこともあった

このように走り出してから多くの小さなトラブルには見舞われたが、どんどん欠点を露呈していくXSに対してそれで良いと感じていた、欠点が出れば出るほど現代の水準で修理できるのだからとね。
こうしてトラブルが起こる度に修理し、改良を続けて信頼性を上げていったのだ!

呆れた事に車載工具のプライヤーなんて役に立ちやしない。何で車載工具はあんなにチープで使えないものなのか?
BMWのバイクなんて、HEYCOのツールセットが付属しているのに、国産の車載ツールももっと何とかして欲しいものだ。

でも良かったー8月は我がXSでツーリングに行ける、もちろんこれからはいつでも路上修理出来るように工具満載でね!

記念すべき公道デビュー!第七話完

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