GARAGEツーリング
2004開幕ステージT「死闘」
第三部(第36
話)

 

さぁ、いよいよ本日メインの長いステージが開幕する。途中に咲く花々のなんと美しい事か。
ヤマハ艦隊=XS&RD400、SR5??、GX250の四台が大観山までグイグイ駆け上がった。
先頭を走りつつミラーを確認すると宇賀SRに(いつも通りピッタリとマークされている。→訂正)護衛されつつ、ガンガン走る。

大観山&箱根周辺はまだかなり寒かった。本当にエンジンが吹けあがらないのには困った。

ここでしばしの休憩後に本日の決戦の舞台、伊豆スカイラインへ向けて出航。
今日という日が、どういう日になるか、旗艦XSを操る身にとって結果はわかっていた。わかりきっていたんだ!!

伊豆スカイラインはもう何度もツーリング等で走っているのだが、やっぱり晴れてる時に広がる景色が最高だ。伊豆半島の頂点を走っている感覚がまた良い。なんて表現すれば良いのだろう。同時に富士山が見えたり海が見えたりするのがさらに隠し味なのである。

大門軍団?キラキラと光り輝く姿が美しい。
サングラスに軍手がヤバイ、次回も期待してるぞ!

今回のベストドレッサー賞はU-Suke君に決定!!

ほのぼのした時間、そんな心休まる瞬間はそう長くは続かない。

いよいよ覚悟を決めた。
「辛い戦いになるだろう・・・」伊豆スカに入り、宇賀SR5??号としんいちRD250号と共にひたすら快走し続けた。

大観山でリセッティングをしていた宇賀SR号はいよいよ調子を上げてきた。それまでとは違うヤル気が感じられる。
まずい、宇賀&ヨシムラヤマハSRパワーが炸裂するアツい瞬間。

クコココココ〜っと攻撃的なサウンドを奏でつつ、まるで巨大なハンマーで引っ叩いたかのように加速していく宇賀SR号のパワーを前に小さくまとまる訳には行かない。だが旗艦は決して怯まない。

宇賀SR号はエンジンオーバーホールをぶちかまし、さらにクロスミッション・ヨシムラカム&マフラー・ミクニTMRなどなどで完全武装された上、我が師匠の手も入っているあの車体はかなり強烈だった。

かつて奥多摩で我が旗艦がぶちのめした時とまるで違う。気づけば我が旗艦が沈みかけてゆく。
ノーマルのXS400エンジンでは勝てないかもしれない。だがそんな事を考えている余裕は実際には無い。

ただ我が車体のヨレをひたすら抑え付け、捻じ伏せる事に専念するのみ。やばいぜ、宇賀SR、思えば成長したものよ。

実は宇賀氏との出会いはSRのノーマルシートを譲る事から始まった。あれからもう二年以上が過ぎる。今まで共に激走してきた数々のステージで繰り広げられたその攻防の一部始終、名勝負は決して忘れる事は出来ない。

そこへいよいよ敵艦のお出まし、後方から物凄い形相で攻撃が開始される。

そう無敵艦隊の一派を構成するVT250だ。DOHC搭載のヤツぁ侮れない。しかもカウル付だ。我が旗艦はメーターに顔が付くかと思うほどに伏せつつも、長い下りの直線で、ミラー越し遠くにVTの影が見えた。

既にロックオンされていた。非常警報が鳴り響く、瞬時にアクセル全開、全速前進。
「ま、まずい、パ、パワーバンドに乗り遅れた」

高回転を維持し続けるホンダDOHCの攻撃はもはや回避出来なかった。
捕捉されたと同時に、さらに手綱を緩める事無く二次攻撃が始まった。左に曲がり行くブラインドコーナーでVTはさらに腰を落としつつ、攻撃後の回避行動に転じていた。

先行するVTはサスが抜けてヨレヨレ、ほぼフルバンクの状態では、リアサスがフルボトムしたままの状態。
前日のVT艦船改修で、リアサスペンションのオーバーホール&ショック交換が間に合わなかった事がより如実に表れていた。

ここでなんとか攻撃に転じようと努力するも、限界域に近づきつつある車体に余裕は無く、少しでも早くコーナーの脱出でアクセルを開ける動作さえも出来なかった。

離されまいと食らい付いて行くものの、既に抜き返すほどの余力は残されていなかった。このわずか一瞬の攻撃にUCGはたじろいだ。「嗚呼、ホンダに負けたんだ・・・」

ウイークポイントはわかっている、プアーな車体なのだ。

ホンダ圧勝ムードの中、旗艦XSと友軍=宇賀SR号は轟沈した。キャブレターは以前よりも遥かに伸びるようにセットアップしたのだが、結果がこれでは成す術が無い。DOHC水冷エンジンはやはりRZ軍団を招へいしなければ駆逐出来ないかもしれないとさえ思った。

と同時にそれは後日、ガレージでVTの前後サスペンションをOHした後にわかったことがあった。

今でこそ激安な車体であるVTだが、いざ乗り出すとそのオールマイティーな出来栄えにただひたすら感心するのみであった。
HY戦争真っ只中に完成されたホンダのマシンは本当に懐が広かった。ああ、なんて楽な乗り物なんだ・・・ズルイ!!

とにかくバイクはパワーで走らせるものじゃないんだ!カッチリした車体こそが最大の武器になるはず。いつか見てろ!!

伊豆スカを快走しつつ、冷川で降りると天城方面へひた走る。途中に寄ったガソリンスタンド、これがまた風情があってイカしてた。驚くことなかれ、この車はまだ走るらしい・・・

燃料補給に時間を取られながら、天城のイノシシ村でイノシシ鍋を食す。大勢でご飯を食べるには最適な場所だった。
初めて食べたイノシシ肉をどのように表現すれば良いのか、難しい・・・

昼飯を食べのんびりした時間を過ごし、気づけば15時になろうかという時間だった。なんと時間の経過が早い事か。あまりにも良い陽気に恵まれると時の流れを忘れる。

この満ち溢れた至福のひと時を見よ。今回親子で参加してくださりました。なんて素晴らしい光景でしょう。
見ているだけで幸せな雰囲気がプンプン漂ってきます。

 


↑ジャパニズムを極めた光景

 


↑狩野川沿いに緩やかに弧を描く道のり

その後、沼津ICを目指し北上。途中から渋滞が激しくなり、ペースはガクンと落ちる。

まだ沼津ICまで渋滞は続いている。そんな中、国道一号線から降りた途端、ホンダCB400SFが攻撃を受け被弾、損傷の程度、エンジン停止、バッテリー上がり、レギュレター損傷、被害大。再スタート困難、あわやリタイヤか??

だが抜かりは無い。そんな事もあろうかと、とりあえずカバンの中に適当なレギュレターを放り込んでおいたのである。もちろんギボシ類やビニールテープも忘れちゃいないです。


↑くらげCB400SF あわや撃沈

今回のこのゴッドハンド修理は、以前、宇賀礼二氏とXS400&650で伊豆を周った時に発生した充発電トラブルによって得られた教訓だったわけである。あの時の苦い経験は決して無駄にはしない!!

何用か不明なレギュレターの装着を試みるために、配線類を全てばらし、一つずつ繋ぎ直しました。ヒューズ切れを心配しながらも最後の1ピース=メイン30Aのヒューズに全てを託し、エンジン始動を試みると・・・掛かりましたよ。

敵艦隊(ホンダ)に手を差し伸べてあげるなんて、なんてやさしいヤマハ乗り!!
いえ、バイク乗りとして誇りですね。ふっふっふ。

例え壊れたとしても、現状で出来る限りの事をやって、ツーリングを続行できるなんて、嗚呼、なんと素晴らしいことか。
My-XSが今まで散々道中でぶっ壊れてきた経験があったからこそ、難を逃れられた事なのかも知れません。

何だかんだと言った所で、また言われたところで、やっぱりXSは堂々たる旗艦なのですよ。
これまで数々の名勝負を繰り広げ、被弾し修理しながら走り続けてきた経験は伊達じゃない!!

路上修理を終え、夕暮れ迫る中、ヘッドライトが灯される。

沼津IC手前で下道組みとお別れする。次回こそは閉会式まで共に走ろう!!

さぁ、復路、東名高速道路が待ち構えている。

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